大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 昭和50年(わ)67号 判決 1975年3月07日

本籍

愛知県岡崎市中之郷町字元山甲四九番地

住居

右同

会社役員

酒井啓三

昭和一一年三月三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官野武興一出席のうえ審理を遂け、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月および罰金一、二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、愛知県岡崎市中之郷町字元山甲四九番地に居住し、同所において土木建設業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て、昭和四七年分の総所得金額は六七、八三八、二三九円で、これに対する所得税額が三八、八九二、七〇〇円であるのに、公表経理上水増外注工事費や、架空労務費を計上し、現金工事収入の一部を除外するなどの方法で得た収入を架空名義で預金するなどして所得の一部を秘匿したうえ、昭和四八年二月二八日愛知県岡崎市明大寺本町一丁目四六番地所在岡崎税務署において、同税務署長に対し総所得金額は七、三一七、六一五円で、これに対する所得税額が一、八〇〇、二〇〇円である旨の過少の所得税確定申告書を提出し、もつて、右不正の行為により正規の所得税額との差額三七、〇九二、五〇〇円をほ脱したものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判定における供述

一、第一回公判調書添付の検察官請求証拠目録(一)、同(二)(但し請求番号17ないし61番を除く。)および同(三)の各証拠

(法令の適用)

一、判示所為につき 所得税法二三八条一項、二項

一、(刑種の選択と併科) 所定刑中懲役刑と罰金刑を選択し、併科する。

一、(労役場の留置) 同法一八条

一、(懲役刑の執行猶予) 同法二五条一項

(裁判官 高橋一之)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例